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と祖父母のすすめもあり、地元の高等学校に進みました。
久し振りの親子四人の生活です。多感な時期でしたので本当によかったとつくづく思います。普通校に通学するのは本人にとって大変なことです。
「補聴器をつけるのは、目の悪い人が眼鏡をかけるのと同じよ」と言い聞かせても、「それはわかっているけれど、それは健康な人が言うことで、障害者はどこが障害でも皆同じよ」と、言われたときは、言葉がありませんでした。
黒板に向かって先生の説明がわからないとか、友だちができないとか、心配していたいろいろの問題が出てきました。その都度、娘と話し合いました。
「恥ずかしいと思わないで、うるさがられるくらいに貴女の方から皆の中に飛び込んで行かなくては、誰も手を受けて待っていてくれないのよ。頑張って話しかけなさい。そのうちきっとわかってもらえるから。皆さんもどうしてよいかわからないのだから」と心を鬼にして励ましました。そしてお互い泣きながら、夜中の二時、三時まで話し合うことも度々でございました。
そんなある日、学校からニコニコして帰って来て、「お母さん分かってもらえた」、「お友だちができた」と、本当に嬉しそうに報告する彼女の努力に涙が出ました。「よかったね、よかったね」と……。
だんだんと自信をつけていきました。ノートを見せて頂いたり、また交換日記をするまでになりました。友だちが遊びにきて下さるようになり、家庭科の先生との交換日記とか、本当に

 

 

 

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